その姿を書き写すことで疫病を封じ込める力を持つとされる妖怪「アマビエ」。
新型コロナウイルスの感染拡大によって一躍有名になった。
このモチーフを作品に取り入れた3人の若き職人たち。
今回は、「明日への扉 番外編〜アマビエに願いを〜」と題して、彼らの近況をビデオレターでお届けします。
六知秀さん
新型コロナウイルス感染拡大により「津軽こけし館」が休館となってしまい、気持ち的に行き詰まっていたところ、娘たちからアドバイスをもらって「アマビエこけし」の製作に取り組みました。おかげさまで好評いただいております。この様な世の中ですが、お客さん同士がこけしを通してコミュニケーションをとったり、和んでくれたら嬉しいです。
正文さん
私の「アマビエこけし」は「青森県地場セレクト」だけで販売されています。
こけしの顔は、津軽系伝統こけしらしさを残し、手に取った人が優しい気持ちになれるように柔らかな丸みを出し、色合いも淡く可愛らしいく仕上げました。こけしの髪の毛一本一本に、いち早く疫病が終息しますように、との願いを込めながら色付けをしています。
新型コロナウィルスの影響でお祭りがなくなってしまい心配でしたが、お祭りをしなくても神様事なので「提灯を新しく綺麗にして奉納だけは行いたい」というお客様も多くいらっしゃいました。そのおかげもあり、しっかり営業できています。
そんな中、アマビエを家紋に見立てて製作した提灯は、SNSなどで評判になりました。家紋に見立てるという兄の発案は、お盆に向けて家紋の提灯が出るのでとても良いアイデアだったと思います。
家紋は、それぞれ皆さんの家庭にあるはずですが、祖父母の家に行かないと分からないという方も増えてきているので、そういう方にも家紋の良さを改めて知ってもらう機会に繋がったのは良かったと思っています。
催事場での実演販売といったイベントが全て中止になってしまいましたが、その期間に今まで彫ることができなかった作品や、新しい作品を彫る機会ができました。
その一つとして、双子の兄和憲さんは、笹野一刀彫の特徴の一つである「サルキリ」の技を駆使して「アマビエ」の作品を制作しました。
笹野一刀彫らしい素朴さを活かされた作品は可愛らしいと評判で、とても嬉しいです。
他にも、昔の一刀彫の研究や彫り直しに時間を使うことができたので、決して無駄な時間では無かったと思っています。やりたくてもやれなかったことに挑戦して、力を蓄える良い時期になったのではないかと思いますね。