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鹿児島県薩摩切子職人
永井 里沙

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薩摩さつま切子きりこ職人 
永井 里沙

Nagai Risa
1987年 香川県生まれ

小学生の時に「薩摩切子」と出会い、その輝き・色の温かさなどの魅力に心惹かれる。

そして、薩摩切子職人になりたいとの夢を抱き続け、高校卒業とともに「薩摩ガラス工芸」に入社。

現在は、優れたカット師になることを目標に、日々努力を積み重ねている。

 

「磨き」。現在永井さんはこの工程を任されている。
カット師を目指す者が通らなければならない道だ。

永井 里沙さん インタビュー
薩摩切子職人になろうと思ったきっかけは?

幼い頃、ホテルに展示してあった「薩摩切子の卓上照明」を見たんです。その時、「すごくキレイ!」と感動したことが、ずっと心に残っていました。

高校生になって、進路を考えるようになり、伝統工芸の仕事をしたいと思うようになりました。小さい頃から物づくりが好きだったことと、「和」のものに惹かれていたことが大きな理由です。

そこで初めて、「物づくりをするなら、小さい頃から好きだった薩摩切子を作りたい」と思い、いろいろ調べました。小さい時に感動したことは心の中にずっと残っていたのですが、いざ調べてみると自分が薩摩切子のことを何も知らなかったことがわかりました。

そんな時、市内に行く途中によく見るショールームが薩摩切子の工場だと知って見学に行き、高校卒業後入社しました。

初めて大皿の磨きに挑戦する。
大皿は重く、様々な磨きの技術を要する。

先輩 カット師 中根 総子さん
インタビュー

永井さんの印象は?

会社組織なので、中には「薩摩切子」に興味がなく入ってくる子もいます。

そんな中で、彼女は本当に「薩摩切子」を作りたくて入ってきた子なので、真摯な態度で仕事を覚えようと日々努力している姿が見受けられますね。若い子の中では、仕事に対する責任感も強いです。

また、意外と負けず嫌い。大きなミスをしたとき、その反省と緊張は大きいが、ひるむことなく再度取り組む強さも持っています。

彼女の今後の課題は「スピードをあげること」。

薩摩切子が好きで「きれいに仕上げなくては」という思いから、丁寧にやりすぎて時間がかかっているのが現状です。
プロの仕事は「はやく、綺麗に、正確に」。この三拍子が揃って初めてプロの技術と言えるので、目の前の課題を克服して、大きいものを磨けるようになって自信をつけていってもらいたいですね。

彼女の力はまだまだ未知数、将来が楽しみです。

永井 里沙さん
後輩
永井 里沙さん
中根 総子さん
先輩
中根 総子さん

取材を終えて

薩摩切子の話を聞くと、嬉しそうに魅力を語ってくれる永井さん。先輩の中根さんが言うように、心から薩摩切子が好きだということが伝わってきて、その純粋さになんだかこちらまで嬉しくなりました。

そんな彼女の趣味は社交ダンス。手先に集中させる作業から一転、全身を動かし華麗にステップを踏む永井さんに、職人とは違った一面を見ることができました。こうして体を動かし発散させることが仕事にも生かされているそうです。

いずれ目標とするカット師となり、永井さんの純粋さが光る作品が生まれてくることを、楽しみに待っています。

薩摩切子

薩摩切子さつまきりこ

江戸末期に薩摩藩で作られた、カット文様を彫り込んだガラス製品のこと。

1851年、当時の薩摩藩主・島津斉彬なりあきらの命により色ガラス製法の研究に着手し、「紅色ガラス」をはじめ、紫、黄色などの発色に成功。美術工芸品として高く評価されたが、島津斉彬の急逝や薩英戦争が原因でガラス製造は完全に途絶えた。

1985年になり、薩摩切子再興に向けた本格的な活動がスタート。多くの職人や研究者の努力により、現在では紅、藍、紫、緑、金赤、黄、6色の復元に成功している。