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#093

京都府畳職人
三宅 克伺

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畳職人 
三宅 克伺

Miyake Katsushi
1983年 鹿児島県生まれ

種子島で生まれ、3歳の時、京都に移り住む。

手先が器用で、幼い頃から工作が好きだった。高校2年の時、知人の紹介で京都の畳店でアルバイトを始めたのがきっかけとなり、2001年、畳職人の道を歩み始める。

2006年、京都の畳店「株式会社にしむら」に入社。また、高い技術を身に付けたいとの思いから、「京都畳技術専門学院」に入学し、3年にわたり、会社と専門学校での修練を続けた。

そして、2014年には「京もの認定工芸士」に認定。現在は、京都畳技術専門学院で講師を務めるなど、畳作りにおける技術が高く評価されている。

約680年前、南北朝時代に皇居だった、奈良県にある世界遺産・𠮷水神社。
こちらでは格式高い畳を見ることができる。

三宅 克伺さん インタビュー
畳職人を目指したきっかけは?

はじまりは、畳店のアルバイトでした。その時、畳を作る時の動きや工程をみて、直感で「自分に合っている」と思いました。気が付くと、畳製作にのめり込んでいましたね。

作業中は、どんな畳になるのか、この部分が後の工程でどう作用していくか、などいろいろ計算して、想像しながらやっています。そういう試行錯誤を含め、作る工程そのものが楽しいです。特に、寸法がピタッとはまった時の気分は最高ですね。

畳は自然の材料を使っていますので、全く同じものができることはありません。ましてや、年によって出来が良かったり、悪かったりもします。「自然」と向き合って生きることが、この仕事にとって大事なことだと思います。

その代わり、難しさは常に感じています。畳は、知れば知るほど奥深い魅力があります。
今はただただ、よりきれいな畳を作りたいという一心ですね。

全ての部品が揃うと繧繝縁うんげんべりを縫っていく。
それぞれの寸法に切る。

畳の魅力は?

畳の良いところは落ち着くところでしょうか。ゴロンと寝そべると癒やされますよね。そうかと思えば茶道や武道、儀式などとも切り離せません。ゆったり寛げる空間でもあり、凛と締まる空間も演出できる。その裾野の広さは、畳の持っている力だと思います。

畳は日本家屋には必須な敷物で、日本の風土にとても合っています。だから、畳そのものが日本の伝統といっても過言ではありません。

しかし、今では昔ながらの技術や道具がなくなってきています。畳が売れないことで、道具を作る人が辞めていってしまうのは、とても寂しいです。道具屋さんだけに限らず、いぐさの農家さん、床屋さん、縁屋さんにも残ってもらわないと、いい畳が作れなくなってしまいます。

だから、たとえ最後の一軒になったとしても、僕らが努力して残していくことは使命だと思っています。こういった逆境のなかでも、さらなる発展を目指していくつもりです。

三宅 克伺さん
畳職人
三宅 克伺さん
榎原 明彦さん
株式会社にしむら社長
榎原 明彦さん

株式会社にしむら社長
榎原 明彦さん
インタビュー

三宅さんについてどう思いますか

三宅さんは普段と仕事中とでは目の色が違いますね。普段はにこやかですが、仕事中はほんとに集中をしてくれています。現場を見ると、一針一針に魂を込めて作っているのが伝わってきますね。

仕事に向かう姿勢だけでなく、精度そのものも大変素晴らしく、常に質の高い畳を制作してくれます。丁寧な仕事の積み重ねが、品質の高さにつながっているのだなと感心させられます。お客さんからの信頼もとても厚いです。

とはいえ、現代は畳の使用自体が縮小傾向にあります。でも、なくなることはないし、なくしてはいけない。敷物として、1300年以上の歴史を持つ畳ですが、空気の清浄化作用や調湿効果、保湿効果などもあって、美しいだけでなく機能面でも優れているんです。

いかに、次の世代に文化と技術を伝えていけるかが今後の鍵ですね。

自己研鑽を積み重ねていきながら、次の世代へ伝えていくことが、私たちの役目だと思っています。

取材を終えて

三宅さんがはまっているのは、釣り。よく海釣りに出かけているという。

釣った魚は、自ら調理して家族にふるまうことで疲れを吹き飛ばすんだとか。

おかげで料理の腕前はめきめき上達していると話してくれた。何事にものめり込み、とことん追求する姿勢が、良い畳を作り、お客さんから信頼されているのだなと感じさせてくれた。

「今度の休みは、何を釣ろうかな?」そう笑った眼差しは、いぐさの香りのような優しさにあふれていた。

畳

たたみ

古事記にも記述が残る日本固有の敷物。現在の畳に似た構造になったのは平安時代。当時は、板敷に座具や寝具として置いて使っていた。

鎌倉時代から室町時代にかけ、書院造が生まれたことにより、部屋全体に畳を敷きつめる使い方に発展。江戸時代中期以降、庶民に普及していった。

断熱性と保温効果の両面を備えているため、夏は涼しく、冬はあたたかい。ゆっくり湿気を吸って吐くので、高温多湿の日本の気候に最適な床材として重宝されている。