Hiroi Seiji
1985年 愛知県生まれ
Totani Wataru
1985年 愛知県生まれ
幼い頃から物づくりが好きだった二人は、ともに、焼き物の製造法を教える「瀬戸窯業高校」に入学、焼き物作りの基礎を学ぶ。
高校卒業後、二人揃って尾張七宝職人の道を選び、廣井さんは「銀線つけ」、戸谷さんは「釉薬差し」という、尾張七宝の最大の特徴であり、重要な工程を極めるべく、互いに切磋琢磨しながら、研鑽を積んでいる。
高校生の時は、七宝のことは知りませんでした。
入社して7年が経ちましたが、七宝は「おもしろい」ですね。
大変な作業、難しい作業が多いですが、好きなことなので没頭できます。
まだ何度もやり直しながらの作業になってしまうので、時間がかかってしまいます。今はスピードを上げることが目標です。
そして、いずれは自分の作品を作ってみたいです。
陶器の世界は〝憧れ〟でしたから、高校では、部活も陶芸部を選び、物づくりに明け暮れる毎日でした。
しかし、陶器の世界は機械化が一層進んでいて、憧れとは程遠い現状を知りました。
そんな時に、尾張七宝の全工程を手作業で作り上げる安藤七宝店の存在を知り、「安藤七宝店を見に行かないか」と誘ったことがきっかけとなり、二人で七宝づくりの道を歩むことになりました。
同じ学校を出て、同じ職場ですけど、友達感覚ではなく「よきライバル」。お互いに刺激しあう関係です。
二人ともおとなしいが、真面目に、一生懸命がんばっています。
ただ、もう少し色々なものを見て、もっともっと感性を磨いてほしいです。
作業は分業ですが、目の前の仕事をただやれば良いというものではありません。
図案を書いた人がいます。その図案を下絵に描いた人がいます。
そうした人たちの意志を尊重しながら、さらに、題材となったモノの〝本来の姿〟を想像し、作業の一つひとつを考えなければなりません。
それにはもっともっと感性を磨き、自分で判断しなければならない。
一つの作業の小さな差で、全体の印象が大きく変わることを忘れないでほしいですね。
図案に忠実なだけでなく、職人の繊細で豊かな感性をも求められる尾張七宝職人。
そのために、彼らは日々の生活においても、図案を読む感覚を磨き続ける。
先人たちが守り続けてきた「尾張七宝」の技法は、こうして現代の若者にも受け継がれていく。
金属製の下地に彩色を施すことで生まれる、華麗で気品のある図柄が特徴の焼き物。
江戸時代後期、現在の名古屋市を中心とした地域にあたる尾張の職人・梶常吉が、外国製の七宝皿を手がかりにその製法を発見し、改良を加えたのが始まりとされる。
以降、技術の発展を遂げ、繊細で華麗な尾張七宝が次々と生み出され、明治には、海外へもその魅力が伝わり、一大産業として栄えていった。
世界各地で開催された万国博覧会では、その巧妙さ、精美さから、日本特有の工芸品として世界的に高い評価を受けている。